
当HPをご覧になる方で検索されてくる最も多いワードが「介護タクシー 廃業率」です。
真剣に介護タクシー業務に取り組もうとされる方なら、一番気になっている部分ではあります。誰しも廃業はしたくありません。
- 介護タクシーは廃業が多いの?
- 高齢者が多いから引く手あまたじゃないの?
- 介護タクシーは予約が取りにくいから不足しているんじゃないの?
などなどの様々な疑問が発生すると思います。
当記事では、介護タクシーの開業運営を専門に扱う行政書士が、介護タクシーの運営にかかる経費、そこから逆算した目標とすべき収入、そして収支がどうなるかを徹底シミュレーションしました。
この記事を最後まで読むと、介護タクシー(福祉タクシー)の運営にどの程度維持費がかかるか、どれくらいのお客さんをどれくらいの単価で取ればいいのかがわかります。
当記事は個人事業として介護タクシーを開業した場合の収支をシミュレーションしています。法人での開業を検討されている場合は下記の記事もご参考下さい。
【開業志望必見】介護タクシーの平均的な収支はこうなる!法人編
※因みに介護タクシーの廃業率は省庁にもデータがありません。開業数、事業者数等が2023年3月現在公表されていませんので推計値も出せません。政府調査で統計が出るまで待つしかありません。
尚、介護タクシーの業界全体についてや、儲かる儲からないのビジネスモデル大枠については、下記の記事をご覧ください。
【開業志望必見】介護タクシーって儲かるの?供給過多?需要はあるの?
当記事は、大阪に10人居ない介護タクシー開業・運営に特化した専門行政書士が執筆しています。
日本行政書士会連合会 登録番号21260549
大阪府行政書士会所属 会員番号008156
介護タクシーは個人事業主でも開業できる
まず大前提として、介護タクシーは法人を設立しなくても開業をすることが出来ます。
介護タクシーは運送業であり、許可事業ですが、許可要件に「法人である」という規定はありません。個人事業主でも許可がおります。
因みに「介護保険タクシー」となると、個人事業主では不可能です。介護保険事業に指定されるには「法人である」という規定があるからです。
介護タクシーの年間経費
今回は個人事業主編です。前提条件として
- 営業車1台
- ご夫婦二人
- 運行管理者が奥さん
というよくあるパターンで、二人分の生活費を稼ぐ方法をシミュレーションしてみたいと思います。
個人事業は給料という概念がない
個人事業主は乗客の売上=自分の収入という事になり、自分に自分の給料を出す事はありません。
つまり、最低限の生活費分の利益を出せば良いという事になります。
ではいろんなパターンの利益をシミュレーションしてみる事にします。
変動費
変動費については、タクシーが走った分で変動するので、個人事業でも法人でも変わりません。
条件としては
- 大阪府の総面積:1899k㎡
- 大阪府の総合病院数:513軒
- 病院への平均距離:3.7k㎡
- 朝と昼の病院の送迎2往復
- 上記の条件で1日走行距離30km
- 高速料金は念のために計上してあります
これで変動費の計算を行います。
軽自動車 | ミニバン | ハイエース | |
ガソリン代 | 70,000 | 90,000 | 130,000 |
オイル交換代 | 10,000 | 10,000 | 10,000 |
タイヤ代 | 20,000 | 24,000 | 28,000 |
高速料金 | 28,000 | 29,000 | 30,000 |
合計 | 128,000 | 153,000 | 198,000 |
ご覧の通りです。
これに対し、下記のパターンによって固定費が変化します。ではシミュレーションしてみます。
事務所、車庫を借りる場合
自宅とは別に、事務所と車庫を借りて、家賃を払いながら事業を行った場合は下記のようになります。条件としまして
- 生活費は月20万、年間240万
- 事務所家賃は月5万で年間60万
- 車庫家賃は月1.5万で年間18万
これを前提としてシミュレーションを行いました。
軽自動車 | ミニバン | ハイエース | |
自動車税 | ¥7,500 | ¥9,500 | ¥15,700 |
重量税 | ¥5,700 | ¥30,000 | ¥49,200 |
自賠責保険 | ¥12,700 | ¥12,550 | ¥12,700 |
任意保険 | ¥200,000 | ¥200,000 | ¥200,000 |
車検費用 | ¥70,000 | ¥75,000 | ¥80,000 |
一年点検(法定点検) | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 |
営業所家賃 | ¥600,000 | ¥600,000 | ¥600,000 |
駐車場代 | ¥180,000 | ¥180,000 | ¥180,000 |
生活費2名分 | ¥2,400,000 | ¥2,400,000 | ¥2,400,000 |
リース代 | ¥360,000 | ¥528,000 | ¥600,000 |
年間固定費合計 | ¥3,845,900 | ¥4,045,050 | ¥4,147,600 |
変動費合計 | ¥128,000 | ¥153,000 | ¥198,000 |
月間経費 | ¥331,158 | ¥349,838 | ¥362,133 |
介護タクシーの1台辺りのマックス売上は50万程度と言われています。
生活費込みで、どの車種でも35万前後になる計算になります。
自宅事務所で車庫のみ借りる場合
市街化調整区域等でなければ、自宅を事務所にすることも検討が可能です。
車庫については、車体より前後左右50cmずつ広い場所で水道付きという要件が必要となり、自宅車庫では事足りない事があります。
というわけで、車庫のみ借りたパターンは下記になります。
軽自動車 | ミニバン | ハイエース | |
自動車税 | ¥7,500 | ¥9,500 | ¥15,700 |
重量税 | ¥5,700 | ¥30,000 | ¥49,200 |
自賠責保険 | ¥12,700 | ¥12,550 | ¥12,700 |
任意保険 | ¥200,000 | ¥200,000 | ¥200,000 |
車検費用 | ¥70,000 | ¥75,000 | ¥80,000 |
一年点検(法定点検) | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 |
駐車場代 | ¥180,000 | ¥180,000 | ¥180,000 |
生活費2名分 | ¥2,400,000 | ¥2,400,000 | ¥2,400,000 |
リース | ¥360,000 | ¥528,000 | ¥600,000 |
固定費合計 | ¥3,245,900 | ¥3,445,050 | ¥3,547,600 |
変動費合計 | ¥128,000 | ¥153,000 | ¥198,000 |
月間経費 | ¥266,158 | ¥284,838 | ¥297,133 |
家賃分月5万がなくなるので、かなり楽になります。
自宅開業だと開業時の許可を突破するのが大変ですが、要件を整えて突破さえすれば、月額固定費5万が減らせます。これは大きいです。
自宅事務所・車庫も敷地内での場合
敷地に余裕があれば、車庫に設定できます。
尚、車庫の条件としては
- 敷地が2m以上公道に接している
- 前面道路が車幅✕2+0.5mの広さがある(目安)
- 車庫の敷地がちゃんと仕切られて他と区別されている
- 車の大きさより前後左右50cmずつ余裕がある
- 水道が届く範囲にある
上記の通りです。車庫として過去使われていて、車庫証明が下りたことがあるという土地でない場合は、一度調査する事をおすすめします。
では自敷地で車庫と営業所を賄った場合のシミュレーションです。
軽自動車 | ミニバン | ハイエース | |
自動車税 | ¥7,500 | ¥9,500 | ¥15,700 |
重量税 | ¥5,700 | ¥30,000 | ¥49,200 |
自賠責保険 | ¥12,700 | ¥12,550 | ¥12,700 |
任意保険 | ¥200,000 | ¥200,000 | ¥200,000 |
車検費用 | ¥70,000 | ¥75,000 | ¥80,000 |
一年点検(法定点検) | ¥10,000 | ¥10,000 | ¥10,000 |
生活費2名分 | ¥2,400,000 | ¥2,400,000 | ¥2,400,000 |
リース | ¥360,000 | ¥528,000 | ¥600,000 |
固定費合計 | ¥3,065,900 | ¥3,265,050 | ¥3,367,600 |
変動費合計 | ¥128,000 | ¥153,000 | ¥198,000 |
月間経費 | ¥266,158 | ¥284,838 | ¥297,133 |
各事業者様に合った事業計画については、メールフォーム、LINE、お電話で「初回無料相談希望」と明記の上ご一報下さい。弊所よりご連絡差し上げます。

LINEでのご相談は無料です
介護タクシー個人事業の場合の想定収入
売上については、法人であろうが個人であろうが変わりません。タクシーが走った分だけ売上がいただけます。
下記の売上の想定として、大阪の平均の病院までの距離3.7kmを走った場合、片道あたり下記のような料金が予想されます。
軽自動車 | ミニバン | ハイエース | |
迎車 | ¥660 | ¥660 | ¥680 |
初乗り | 1.5km¥660 | 1.5km¥660 | 1.7km¥680 |
加算 | 248m¥80 | 248m¥80 | 241m¥80 |
運賃合計 | ¥2,040 | ¥2,040 | ¥2,080 |
基本介助 | ¥500~¥1,000 | ¥500~¥1,000 | ¥500~¥1,000 |
機材レンタル (オプション) | ¥1,000 | ¥1,000 | ¥1,000~¥3,000 |
院内介助 (オプション) | ¥500~¥1,000 | ¥500~¥1,000 | ¥500~¥1,000 |
フロア移動 (オプション) | ¥500~¥1,000 | ¥500~¥1,000 | ¥500~¥1,000 |
概算合計 | ¥2,380~¥4,380 | ¥2,380~¥4,380 | ¥2,400~¥6,400 |
実際にちょっと甘めで、必ずしも上記のようにはなりませんが、これだけの上乗せは可能という事です。
ハイエースについては、ストレッチャーの貸出相場が3000円程度になるので、オプションを取りやすいです。
軽、ミニバンについては、車いすを借りる人は少ないと思いますが、移動に適したリクライニング車いす等があり、用意しておけばオプション売上にプラスアルファする事も考えられます。
介護タクシーの売上と経費の比較と利益率
では売上と経費を比較してみます。前提条件としては
- 一日朝昼病院送迎2往復
- 一日走行距離:30キロ
- 大阪からの病院への平均距離:3.7kmとして
- 燃費は軽が20、ミニバンが15、ハイエースが10として
- ガソリン代:170円として
- 年間病院開院日数:230日として
- 年間のべ乗客数:上記より年間のべ920人として
上記の条件の時に乗車一人あたりの経費を算出、一人あたりの想定売上を比較してみました。
軽自動車 | ミニバン | ハイエース | ||||
想定売上 | ¥4,380 | ¥4,380 | ¥6,400 | |||
営業所車庫賃貸時 | ¥4,319 | 1.38% | ¥4,563 | -4.18% | ¥4,723 | 26.20% |
車庫のみ賃貸時 | ¥3,667 | 16.27% | ¥3,911 | 10.71% | ¥4,071 | 36.39% |
営業所車庫自己所有 | ¥3,472 | 20.74% | ¥3,715 | 15.18% | ¥3,876 | 39.44% |
右のパーセンテージは同条件時の利益率となります。
利益率に生活費が含まれているので、出ている利益は丸々自分の貰いとなります。
勿論自分の事業の周知が進むまではこううまくは行きませんが、周知が進めば需要は逼迫しているので、ベースの売上にたどり着く事は、他業種よりは比較的スムーズと言えます。
同業他社、ケアマネ、高齢者や障がい者の施設等に周知を進めるのが序盤の課題です。
個人事業主は自由が効きやすい
上記はあくまでベース売上の話です。法人内だと時間内での労働しか原則不可能ですが、個人事業主については、自分の体の許す限り、深夜や時間外に対応しても構いません。
- 長距離移動
- 転院
- 旅行・観光
- 夜の救急病院への搬送
- 救急患者の帰宅
ベース売上以外に、上記のようなスポット仕事を入れられるようになれば、ベース以上の売上が伸びるようになります。
関連事業と絡める
上記の客単価を上げる方法として、関連事業を絡めてみるのも手段です。
救援事業(緑ナンバーを使用して便利屋が出来る)
通常、緑ナンバーの車は運送事業以外に使用してはいけませんが「救援事業」の届出を出すことで、事業用車を利用して
- 買い物代行
- 薬受取代行
- 介護保険外の雑用(家の掃除等)
これらが可能になります。
旅客運送業許可を持っている事で、運輸局に届出の上で便利屋のような事が出来て、それに緑ナンバーの車を活用することが出来ます。
他の許可が必要な業務以外は大体可能になります。介護保険外で、利用者様の身辺の世話等を行えます。
自由度が高い事業なのでアイディア次第で客単価の上昇が狙えます。詳細は下記の記事にて。
民間救急
介護タクシーに追加許可で、消防署からの認可を受けて、民間救急事業という事業が可能になります。
消防署やその委託を受けたコールセンターと連携を取る事が可能になります。救急まで行かない緊急度の低い患者を有償で運送出来ます。
積極的に活用している自治体は、登録している介護タクシーを紹介してくれたりします。地元消防署に問い合わせてみましょう。
まとめ
今後の課題としては
- 介護タクシーというサービスの知名度がまだ高くない
- 料金相場が利用者に知れ渡っていない
この辺りになるので、適正料金を取っていても「こんな高いとは思わなかった」という事になります。これについては、自分が行っているサービスをいかに良く利用者に伝えられて満足を引き出せるかが課題です。
今回のシミュレーションのように、実際ここまでスムーズに売上や客単価が上がるとは思えませんが、目指す目標については上記のような体制です。いかに早く上記体制に近づけるかが、廃業率を減らす鍵です。
介護事業との並行と違い、何かとの相乗効果はありませんが、他の異業種に比べてのメリットがあります。
- 開業初期コストが低い
- 介護士さんの独立の手段の一つに出来る
- 人を雇わず出来る
- 先行者利益がある
訪問介護等も営業所のみで開業が出来ますが、法人を立ち上げ人を雇わなければなりません。
翻って介護タクシーは個人事業車一台で、体制次第で人を雇わなくても可能になります。独立したいけどまずはミニマムに、介護スキルも活かしたいという場合は、個人事業としての介護タクシー開業、ぜひご検討下さい。
下記に当てはまるなら「初回無料相談」ご検討下さい
- 介護タクシーの開業を検討している
- 訪問介護・看護の他に介護保険外のサイドビジネスを考えている
- 障害者福祉事業の他に国保連外のサイドビジネスを考えている
- 介護のスキルを活かして独立したいと考えている
- 開業したいけど何が必要かよくわかっていない
- 物件はあるけど、これで許可が下りるか知りたい
- 現在介護事業を行っていて、サイドビジネスを考えている
- いつも頼んでいる介護タクシーの予約が取りにくい、自前で1台持ちたい
- 男性ヘルパーの活躍する場を更に増やしたい
人員、物件については揃える前から相談を依頼して頂いて構いません。どのような物件と人員にすれば良いかご案内させていただきます。
すでにある物件については、許可が取れるか取れないかを調査させていただきます。なるべく早い段階で無料相談受けて頂けるとスムーズです。
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