介護タクシーを開業するにあたって、当然営業車を停めておく車庫が必要です。
「普通に月極車庫借りればいいでしょ」なんて思うかもしれませんが、実はちょっと違う車庫を借りなければなりません。
借りてから開業の要件に引っかかって別の車庫を借り直しなんてことは避けたいです。
ではどんな車庫を借りれば良いでしょうか。大阪で介護タクシー(福祉タクシー)開業運営を専門としている行政書士が徹底解説します。
この記事を最後まで読むと、開業の要件に引っかからない車庫を選ぶ方法がわかります。
当記事は、介護タクシー開業・運営に特化した専門行政書士が執筆しています。
日本行政書士会連合会 登録番号21260549
大阪府行政書士会所属 会員番号008156
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介護タクシーの車庫に出来る条件は「広くて水道付き」
大雑把に言えば「広くて水道つき」になります、細かい条件を言うと下記の通りです。
原則営業所に併設されている
併設にできない場合は営業所から半径2キロ以内である事が必要です。
グーグルマップでは直線距離の測定機能があります。これで目安どのへんまでかを予め調べておいて、不動産屋さんにリクエストすると良いです。
車両が車庫からはみ出さない
令和5年10月31日より、右図の「自動車の大きさ+前後左右50cm」のルールがなくなり、自動車が車庫からはみ出さなければ許可や認可が下りるようになりました。
つまり、至って普通の月極駐車場でも介護タクシーの車庫にして許可を受けることができるので、特に都心での許可が取りやすくなりました。
点検整備の施設がついている(工具備え付け・水道必須)
水道と備え付け工具が必須となります。
介護タクシーの審査基準で「洗車や整備のための設備やスペースがある」という決まりがありますが、水道付きの車庫を探すのは大変です。
車庫に水道の確保が難しい場合、周囲のガソリンスタンドや洗車場を借りることで許可が下ります。
ただし、持ち主(ガソリンスタンドのオーナー等)から承諾書だけ一筆頂いて申請の時に一緒に提出する必要があります。
書式に決まりはありませんが、下記のような書面を持ち主に書いて、判子を貰って下さい。
下記は例として、介護タクシーオフィスたかはしが、たかはし石油に洗車場を借りる場合にもらう承諾書となります。
備え付け工具リスト
介護タクシーの営業許可審査基準には「車庫には点検、整備及び清掃のための設備が設けられていること」とあります。
自動車点検整備基準では、車庫に下記の工具を備え付ける規定があります。
測定用器具 | 作業用器具、工具 | 手工具 |
イ 物さし又は巻尺 ロ タイヤ・ゲージ ハ タイヤ・デプス・ゲージ ニ (蓄電池の充放電の測定具) | イ ジャッキ又はリフト ロ 注油器 ハ ホイール・ナット・レンチ ニ 輪止め ホ (タイヤの空気充てん具) ヘ (グリース・ガン) ト (点検灯) チ (トルク・レンチ) | イ 両口スパナ ロ ソケット・レンチ ハ プラグ・レンチ ニ モンキー・レンチ ホ プライヤ ヘ ペンチ ト ねじ回し チ (ハンド・ハンマ) リ (点検用ハンマ) |
プラグ・レンチについては、ジーゼル自動車のみの車庫には適用しない。 括弧内のものは、有していることが望ましいものを示す。 |
※自動車点検整備基準より引用
何かがあった時にどのみち買うことになるようなものなので、事前に揃えておくことをお勧めします。
車庫とそれ以外のエリアがちゃんと分かれている
境界線等がない平地の場合は、最低でも三角コーンは設置しておきたいです。
元々車庫として使われていた所なら境界線も区画も決まっており、車両制限令等もパス出来ているのでとてもスムーズです。
申請日から1年以上借りている
開業申請、車庫増床申請共に、申請日から1年以上借りている必要があります。
※令和5年10月31日より3年→1年に規制が緩和されました。
賃貸の場合、賃貸借契約書または使用承諾書が必要
自家用車置き場として賃貸している場合「事業用として使います」という許可を大家さんにもらって一筆頂く必要があります。
賃貸借承諾書に「事業用として使う」と書いてあれば賃貸借契約書のみでOKです。
違法建築ではない、車庫にしてはいけない土地ではない
車庫が建物である場合は、建築基準法、都市計画法、農地法、消防法に触れていないかの調査が必要です。簡単に言うと
- 違法建築ではない
- 市街化調整区域や住居専用地域ではない
- 農地ではない
- 消防設備が基準通りである
尚、建物でない場合は
- 農地ではない
だけ満たしていればOKです。青空車庫であれば市街化調整区域でも車庫にする事が可能です。
奥まった車庫の場合は、接道2m必要
車庫は、公道に2m以上接道している必要があります。
右図のように奥まった土地を「旗竿地」と言います。
こういった土地を車庫にする場合は、2m以上公道に接していることを確認して下さい。
画像や平面図で見て怪しい場合は、運輸局から「測った所を写真に撮って添付して」等の要求も事も予想されますので、測定を行っておくことをお勧めします。
前面道路が狭すぎたりしない
前面道路の目安は(車幅✕2)+0.5m以上です。
当たり前ですが、前面道路が広すぎて駄目!と言われることはありませんが、狭いから駄目!はあります。
になります。介護タクシーの人気車種であるミニバンの場合1.69mとなるので、それで計算をすると
(1.69✕2)+0.5=3.88m
となり、前面の道幅は3.88m必要になります。
一方通行ではない場合は、同じ車が2台すれ違えて、かつ0.5mほど余裕がある道でないと、車は通ってはいけないというルールがあるからです。
前面道路が狭い場合も方法がある
前面道路が広ければ「他の追加書類が必要ない」というだけで、極端に狭くなければ、前面道路が狭くても許可を取る方法がいくつかはあります。
例えば3mくらいの狭い路地を、車幅2mのハイエースやトラックが通行していますが、あれは全て違法なのかと言われればそうではありません。
問題ないとして道路管理者が禁止していないからです。
道路は、単純に道幅での場合は自治体の路政課など、標識で禁じられている場合は警察になります。
通行許可を取る、言質を頂いて運輸局への申請に書き込むなど、方法はありますのでご相談下さい。
前面道路の通行が標識によって禁じられている場合
前面道路が通行止めの場合、その沿線にある家や駐車場の場合は警察で通行許可を貰うことが出来ます。
例えば標識などで歩行者専用道路に指定されており、車両が通れない場合は警察で通行禁止道路通行許可を申請して許可がもらえます。
警察署長の許可があれば物理的に通れないような車以外は通してくれます。詳しくは下記の記事ご参照下さい。
近畿運輸局の介護タクシー審査基準
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)の許可に関する審査基準及び細部取扱についてより抜粋
6,自動車車庫
(1)原則として営業所に併設するものであること。
ただし、併設できない場合は、営業所から直線で2キロメートル以内の営業区域内にあって運行管理を始めとする管理が十分可能であること。
↓
細部取扱について
(1)について
・1営業所に対して著しく多くの自動車車庫を設置する等不自然な形態での事業用自動車の分散配置は、適切な運行管理が行われない恐れが高いことから認めないこととする。
・運行管理を始めとする管理については、運行管理の他、事業用自動車の車内の掲示、点検整備、応急用器具等の備付等の管理であって、事業計画に照らし個別に判断することとする。
(2)営業所に配置する事業用自動車の全てを確実に収容できるものであること。
(3)他の用途に使用される部分と明確に区画されているものであること。
(4)申請者が、土地、建物について1年以上の使用権限を有するものであること。
(5)建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
(6)事業用自動車の点検、整備及び清掃のための施設が設けられていること。
(7)事業用自動車の出入りに支障がない構造であり、前面道路が車両制限令に抵触しないものであること。
路肩の計算が必要
路肩という道の遊びの部分があります。
上の図の部分が路肩です。肝心なのは車道の幅なので、道路総幅から路肩を引いて車道の幅を計算します。
道路総幅-路肩=車道
となります。計算の決まりとしては
- 両サイドの路肩合計が1m以上の場合は、白線の内側の車が通る部分の幅が車道幅員
- 両サイドの路肩合計が1m未満の場合は、道路総幅(路肩含む)から1mを引いた物が車道幅員
- 白線で区切られていない場合は道路総幅から1mを引いたものが車道幅員
こう考えると車庫の前面道路はかなり広くないといけません。
前面道路は指定地域によって計算が変わる
主に2種類の地域
- 市街地区域
- 市街地区域外
にわけられます。そこからさらに
- 通常の道路
- 交通量の極めて少ない道路
- 歩行者が多くて歩道がない駅前繁華街
等に更に細分化されます。下記の表の通りです。
軽自動車 | 1.3m |
ノア、ボクシー、セレナ等のミニバン | 1.65m |
ハイエース、キャラバン、ボンゴなどのワゴン | 1.69m~1.88m |
上記が代表的な車種の車幅になります、これを踏まえて下記の表をご覧ください。
道路の区分 | 通行しうる車両の幅 | 2.0mの幅の車両が通行しうる | 1.7mの幅の車両が通行しうる | 1.3mの幅の車両が通行しうる | |||||
最低の車道幅員 | 最低の道路の幅員 | 最低の車道幅員 | 最低の道路の幅員 | 最低の車道幅員 | 最低の道路の幅員 | ||||
市街地区域内の道路(第5条) | 一般市街地道路 | A通常の道路(§5①) | (車道の幅印-0.5m)/2 を超えないもの | 4.5m | 5.5m | 3.9m | 4.9m | 3.1m | 4.1m |
B市街地地区内極小指定道路又は一方通行とされている道路(§5①) | (車道の幅員-0.5m) を超えないもの | 2.5m | 3.5m | 2.2m | 3.2m | 1.8m | 2.8m | ||
歩行者が多くて歩道のない駅前・繁華街道路 | C通常の道路(§5③後) | (車道の幅員-1.5m)/2 を超えないもの | 5.5m | 6.5m | 4.9m | 5.9m | 4.1m | 5.1m | |
D市街地地区域内極小指定道路又は一方通行とされている道路(§5③前) | (車道の幅員-1.0m) を超えないもの | 3.0m | 4.0m | 2.7m | 3.7m | 2.3m | 3.3m | ||
市街地区域外の道路(第6条) | E通常の道路(§6②) | 車道の幅員/2 を超えないもの | 4.0m | 5.0m | 3.4m | 4.4m | 2.6m | 3.6m | |
F一方通行とされている道路又はその道路に概ね300m以内の区間ごとに待避所がある道路(§6①) | 車道の幅員-0.5m を超えないもの | 2.5m | 3.5m | 2.2m | 3.2m | 1.8m | 2.8m | ||
G市街地区域外極小指定道路(§6①) | 車道の幅員 を超えないもの | 2.0m | 3.0m | 1.7m | 2.7m | 1.3m | 2.3m |
道路は指定されています。では誰が指定しているかというと「道路管理者」が指定しています。
道路管理者は自治体(市町村)です。建設局等が上記表のどれに指定されているかを教えてくれます。これで車道の幅がわかります。
尚、この表を読み解かないといけなくなった段階でかなりレアケースとなりますので、弊所にご相談下さい。
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介護タクシーの車庫の新規申請や変更に必要な書類
要件を満たした車庫を見つけたら、それを介護タクシーの車庫として使うのに申請が必要です。
- 新規営業許可申請
- 車庫の拡大申請
- 増車申請
上記いづれもの時には必要と考えて下さい。必要書類としては
賃貸借契約書
賃貸借契約書に「事業用自動車を駐車する」旨の記載があればそれだけでOKです。
自家用に借りている物件を事業に使いたい場合は別途書類が必要です。
使用承諾書
賃貸借契約書に「事業用自動車を駐車する」旨の記載がない、自家用車を停めるように借りている場合は必要です。
この場合、事業用に使う事を承諾してもらう「使用承諾書」を大家さんから一筆頂く必要があります。
前面道路の幅員証明書
開業申請時に、営業許可の申請時に自治体でもらえる「道路幅員証明書」の添付を求められます。
詰まる所、車庫前面の道路が狭すぎると許可が下りないのです。
幅員証明書は、自治体に申請すれば貰えますが、発行廃止している自治体が増えてきているので、その場合は自分で道路を測定して宣誓書という形での提出になる場合もあります。
更には、前面道路が広くても公道でない(私道)場合があります、これも役所で調査できますので、ちゃんと調査を行なった上で車庫を決めましょう。
前面道路の宣誓書
幅員証明を廃止している自治体の場合は「規定通りの幅員があります」という宣誓書を作ります。
大阪では幅員証明の発行の廃止をしている自治体が1/3を超えています。
この場合、道路を実測して写真を撮影し、宣誓書と一緒に提出することで、幅員があることを証明します。
前面道路が私道の場合
私道の場合は、私道の持ち主に使用の許可をもらった書類が必要です。
前面道路の判断は、車庫から始めて出る公道になりますが、その間に私道がある場合は、私道の持ち主に事業用自動車が通行する旨の許可を頂いて置く必要があります。
これらのことを踏まえて、車庫を選んでいきたいですね。
尚、車庫に関する書類の収集や作成についても弊所は承っています。増車や新規申請の時にも必要となります。ご依頼下さい。
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車庫を移転したい時は届出が必要
移転等による車庫の変更、増車による車庫の増床は、運輸局への申請が必要です。
移転先や増床する車庫についても要件に当てはまっている必要があるので、それを証明する添付書類が必要です。忘れずに届け出るようにしましょう。
車庫の変更は事業計画の変更、車庫の増床は事業の拡大という位置づけになりますので、事業計画変更申請が必要です。
尚、事業計画の変更の審査には約2ヶ月ほど必要です。計画的に移転や増車を計画したいです。
選んだ車庫が要件に合っていないと思ったら
- 車庫が狭い
- 前面道路が狭い
- 車庫の入口が狭い
- 水道がない
- 車庫の建物がかなり古い
- 車庫の前が公道ではなく私道
等で車庫の要件が怪しい場合は、車庫を測定、写真撮影、具体的な住所の提示等を役所に行い交渉することも可能です。ひょっとすれば少ない改善点で許可が降りる車庫に出来る可能性も出てきます。
そういった役所との交渉については、行政書士は得意としています。ぜひ一度ご相談下さい。
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介護タクシーの開業に必要な人・物・資金リスト
介護タクシーは個人事業で営業車1台からも開業できますが、許可制ですので許可のために必要な物が揃っていないと許可が下りません。
下記、開業に必要な人、物、資金を解説した記事のまとめになります。
- 介護タクシー開業の最低人数・必要資格
- 介護タクシー開業に必要な4つの設備
- 介護タクシーの許可が取れる最低限の資金
- 介護タクシーの許可が取れる「営業所」
- 介護タクシーの許可が取れる「休憩所」
- 介護タクシーの許可が取れる「車庫」
- 介護タクシーの許可が取れる「営業車」
- 介護タクシーの許可が取れる「運転者」
- 介護タクシーの許可が取れる「運行管理者」
- 介護タクシーの許可が取れる「整備管理者」
- 介護タクシーの許可が取れる「指導主任者」
- 介護タクシーの許可が取れない「地域」
4つの施設、1台の車、2人の人を集めて頂く必要がありますが、揃える前からでも弊所にご相談、ご依頼頂きましたら、足りない物、揃えて頂くべき物をアドバイスさせて頂きます。
購入等してしまった後に「要件に合わない」等が出てくると経済的損害が大きいので、是非お気軽にご相談下さい。
まとめ
- 車庫は営業所に併設されていればヨシ!
- 無くても2キロ以内の近くにあればヨシ!
- もともと車庫として使われていた所だったら尚ヨシ!
- 前面道路が広ければヨシ!
- 1年以上使えればヨシ!
下記に当てはまるなら「初回無料相談」ご検討下さい
- 介護タクシーの開業を検討している
- 訪問介護・看護の他に介護保険外のサイドビジネスを考えている
- 障害者福祉事業の他に国保連外のサイドビジネスを考えている
- 介護のスキルを活かして独立したいと考えている
- 開業したいけど何が必要かよくわかっていない
- 物件はあるけど、これで許可が下りるか知りたい
- 現在介護事業を行っていて、サイドビジネスを考えている
- いつも頼んでいる介護タクシーの予約が取りにくい、自前で1台持ちたい
- 男性ヘルパーの活躍する場を更に増やしたい
人員、物件については揃える前から相談を依頼して頂いて構いません。どのような物件と人員にすれば良いかご案内させていただきます。
すでにある物件については、許可が取れるか取れないかを調査させていただきます。なるべく早い段階で無料相談受けて頂けるとスムーズです。
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