事業の拠点、営業所の要件

介護タクシーを開業するにあたって

  • 事務所を借りたいけどどんな事務所がいいの?
  • 事務所が原因で許可が下りない事もあるの?
  • 自宅って事務所に出来るの?

等などの疑問が浮かぶ方も多いはずです。

借りた事務所が開業許可の条件に合わず借り直しなんて事はできれば避けたいはず。

開業申請の書類には、営業所の図面や写真を添付しなければなりません。それにはまず許可を取れる物件でないといけません。

では、どんな物件で許可が取れるのでしょうか。大阪で介護タクシー(福祉タクシー)開業運営を専門としている行政書士が徹底解説します。

この記事を最後まで読むと、営業所用にどんな物件を借りたらいいか、どんな物件を借りてはいけないか、自分の自宅が営業所にできるかがわかります。

介護タクシー開業の要件3つ

介護タクシーは大きく「人員要件」「設備要件」「資金要件」があります。ヒト・モノ・カネです。

設備要件は大きく4つで「営業所」「休憩所」「車庫」「営業車」になります。これらを条件に合った物で揃えます。

今回は設備要件の中の「営業所」を詳しく解決します。尚、それ以外の要件については下記の記事もご参考下さい。

介護タクシーの設備、資金、人員の要件はコチラ!

介護タクシーの営業所の要件

介護タクシーの営業所は、下記の要件を見対している必要があります。

営業区域内にあること

営業区域は都道府県単位です。

大阪府で営業したい場合は大阪府内に営業所があれば府下全域で営業が出来ます。隣の県でも営業をしたい場合は、隣の県にももう一つ営業所を構えれば可能になります。

介護タクシーの「営業所」と「主たる事務所」の違い

介護タクシーの営業許可申請書には「主たる事務所」と「営業所」を書く欄があります。

この違いについては

  • 主たる事務所:法人の本拠地、登記簿上の住所
  • 営業所:介護タクシーの事業の本拠にする事務所

上記のようになります。例えば、登記簿上の住所が京都の法人が、大阪に営業所を置くと大阪で営業が可能になります。

当記事で解説している営業所の要件ですが、これは「営業所」の方が要件を満たしている必要があり「主たる事務所」についてはこれらの要件を満たしている必要はありません。

自分の土地建物である、または申請日から1年以上借りている

令和5年10月31日より、営業所の借入期間が3年→1年に短縮しました。

賃貸借契約書に、申請日より一年以上先の借入期間が書いてあれば許可はおります。

違法な建物ではない、建ててはいけない土地にたっていない

不動産関連の法律が4本あります。下記4法に触れていない土地建物を営業所にする必要があります。

  • 建築基準法
  • 都市計画法
  • 農地法
  • 消防法

特に自宅で開業したい、自宅がかなり古い建物であるという場合には一通りの調査をお勧めします。

不動産関連4法の詳細については、後術させていただきます。

適正規模

面積要件はありませんが、極端に狭い場合は不許可になる場合があります。

狭すぎて不許可になる例は私は無いですが、1台で運営する場合は

  • デスク・椅子
  • 電話FAX
  • パソコン

これらがおける常識的なスペースがあれば、不許可になることは無いでしょう。

自宅兼事務所も可能

上記の条件に当てはまっていれば、自宅兼事務所が可能です。

居住スペースと明確に分かれていること

入り口からプライベートスペースを通らずに事務所にたどり着けるならOKです。

リビングを通らないと事務所と設定する部屋に行けないという場合はそうならない工夫が必要です。

パーテーションで区切る

向こうが見えない高さのパーテーションで、プライベートスペースと事務所を区切る事で要件を満たせることがあります。

パーテーションの高さは概ね180cmくらいを想定して用意したほうがいいでしょう。

賃貸の場合は大家さんから許可をもらう

賃貸で「居住用」として借りている場合は「事業用として使っても良い」という大家さんの許可が必要です。

嫌がる大家さんも居ますので、交渉が必要です。介護タクシーは事務所に利用者が出入りするようなことはほぼ無いので、うまく交渉すれば許してくれる場合があります。

自宅兼事務所について、詳しくはコチラ!

元々オフィスとして使われている事務所だと、かなりスムーズです。そういった物件を狙うのが近道かもしれません。

大きめの車庫が併設されていて、休憩所のベッドを置けてちょっと仕切れるくらいのスペースがあれば上々です。

介護タクシー営業所にしてはいけない土地、建物

前述しましたが、不動産関連の4つの法律に触れていない土地と建物を選ぶことが必要です。

  • 建築基準法
  • 都市計画法
  • 農地法
  • 消防法

特に「自宅で開業したい」という場合は、これらの法律に触れていない事をしっかり調査することが必要です。

建築基準法

違法建築ではない建物である必要があります。

違法建築は下記の例が多いと言われています。この例に則って調査をすると違法建築かどうかがわかります。

建ぺい率、容積率オーバー

土地いっぱいキチキチの建物が建っていると違法建築です。

建ぺい率:土地に対しての建物面積は何%までか法律で決まっており、それをオーバー
容積率:2階建ての建物の場合、土地に対して1F+2Fの床面積の合計にも制限があり、それをオーバー

これを両方とも満たしている必要があり、このオーバーが違法建築で最も多い例です。

建て増しをした結果、建ぺい率か容積率がオーバーした

建て増しの場合は建築確認等が不要な場合があり、建て増した結果違法建築になる例があります。

新築時合法であっても、建て増しをした時にオーバーしたという例が頻発しているようです。建物や自宅で過去に建て増しをした経歴がある場合は要注意です。

建築確認と違う建物を立てた

建てる前に受けた確認と別の建物を建て、それが違法建築になっている場合があります。

これは悪質な例になります。この場合はおそらく、建築後に貰える「検査済証」がないはずです。

完了検査を受けていない

建築完了後、完了後検査を受けて検査済証を発行してもらいますが、それをしていない場合があります。

完了後検査をしていない場合、検査済証は発行されません。単純に忘れていた場合、建築確認と別の建物を作って、意図的に受けなかった場合もあるので、その場合は完全に違法です。

建てた当時は合法だったが、法改正で現在違法状態

建築基準法は時流と共に改正され、昔建てた建物の場合は結果的に違法になっている可能性があります。

建ぺい率については2019年に緩和されましたが、耐震基準については2000年に厳しくなりました。これ以前に建てられた建物だと注意が必要です。

尚、後日の法改正で違法建築になる前から持っていた人については役所に相談が出来ますが、違法建築になった後に売買などで手に入れた物件の場合は取り合ってくれない場合があります。

都市計画法

自治体で「開発してほしくない地域」に指定されていると、介護タクシーの営業所に出来ません。

都市計画法では、地域を「開発して欲しい」「開発してほしくない」という地域で15種類に分けられています。

15地域のうち2地域では、原則営業が出来ません。

  • 市街化調整区域
  • 第一種低層住居専用地域

開業したい自宅等が上記2地域の場合は「例外の要件に当てはまっている」「別途開発許可等を取る」等の手続きをすれば可能になる場合がありますが、基本的には難しいです。

別の営業所を見つけられる場合は、そちらを優先する事をお勧めします。それでもどうしても自宅で許可が取りたいという場合は下記の記事をご覧下さい。

介護タクシー営業所にできない「地域」確認方法詳しくはコチラ!

その上で「何かしら許可を取らなくては難しそう」と結論した場合は、是非弊所にご相談下さい。まず、可能不可能の検討の上で、可能の場合は別途許可も代行させていただきます。

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農地法

農地の定義は以下の通りです

  • 登記簿の地目が「田」「畑」となっている
  • 農業委員会の農地台帳に掲載されている

営業所、車庫、休憩所および仮眠施設として使う建物が、上記のような農地の上に建っている場合、違法となります。

事前調査が入ることはないですが、事後発覚した場合は許可の取り消しまであります。

・農地で無いか調べる方法

農地かどうかを調べるには下記の方法があります。

  • 登記簿を取り寄せて地目を調べる
  • eMAFF農地ナビで検索する
  • 地元農業委員会に確認する

eMAFF農地ナビはコチラ!

登記簿は法務局で申請すれば取れます。

農地ナビについては目安程度に考えておいてください。一番確実な方法は、農業委員会に住所を言って農地かどうかを確認してもらう方法です。

農地である場合は許可が必要

農地を営業所にしたい場合は、農地転用許可が必要です。

農地は基本的には農業以外に使ってはいけません。農業以外に使いたい場合は、許可を取得する必要があります。

一定の条件に当てはまっていれば許可がとれます。許可の取得の代行については弊所でも行っています。是非ご相談下さい。

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消防法

消防法には建物が火事になった時に必要設備があるか、避難経路があるか、避難のための指揮系統があるか等の基準が書かれています。

消防法対象建物は一定以上広い建物である

下記のどちらかを満たす建物は消防法の対象です。

  • 営業所面積が50㎡を超える
  • 営業所の面積が自宅の半分を超える

これのどちらかを超えると「防火対象物」となり、然るべき消防設備や避難体制を整える必要があります。

50㎡=1辺7mになりますのでかなり広いです。六畳の部屋でも1辺2~3m程度です。自宅開業でこれより広い部屋を事務所とする例はあまりないので、対象内になる例はあまりありません。

事務所を借りる場合

オフィスビルや、事務所として過去から使われている実績のあるオフィスは整備されている場合が多いです。

気をつけたいのはどこかの住居を借りて営業所にする様な場合です。集合住宅なら設備は整備されている可能性が高いですが、一戸建てを借り切る等の場合は不動産屋に事前に相談するか、調査をする必要があります。

必用消防設備

消防法の要件については、大まかに下記のような物があります。

  • 消火設備
  • 警報設備
  • 避難設備
  • その他設備
  • 防火設備
  • 廊下の幅
  • 避難経路の設定

ビルの用途や規模によって上記の設備要件が変わります。

消防法違反の建物はネットで調べられる

消防法違反の建物は公表されています。

消防署は抜き打ちで3年~5年に一回以上の調査が来ます。違反が発覚すると、10日以内に改善出来ない場合には、建物名が公表されます。

総務省消防庁:消防法違反物件の公表サイト

ここに載っていない場合は大丈夫な可能性が高いですが、不安な場合は地元消防署に相談してみて下さい。

自分の建物、土地で事業をしたい場合は

自分の土地の場合

これから建物を立てる場合は消防法に則った建物を建てます。

住居兼事務所の場合は、事務所の大きさが住居の半分以下になるように設計するとスムーズです。

建物がすでにある場合

事業用の建物をすでに持っている場合は、消防署が過去に何回か来ているはずです。

既に介護事業や別事業を自己建物でやっている場合は、消防署が何回か来ているはずです。特に問題がない場合はそのまま始められます。

自宅兼事務所の場合

一軒家で事務所がその一室となると、消防法は対象外になります。

営業所を設定する時に、自宅面積の50%を超えないように気をつけて下さい。

介護タクシーの営業区域は都道府県単位

介護タクシーの営業区域は都道府県単位なので、大阪府に営業所があれば、大阪全域で営業が出来ます。

大阪に営業所を置き、大阪で許可を取った場合は

  • 大阪府内から出発
  • 大阪府内へ到着

このいずれかを満たさなければなりません。(隣接地域で例外あり)

大阪で営業所をおいている場合は、他県発→他県着は出来ませんのでご注意下さい。

3,営業所

配置する事業用自動車に係る運行管理及び利用者への対応を行う事務所であって、次の各事項に適合するものであること。

①営業区域内にあること。
 なお、複数の営業区域を有するものにあっては、それぞれの営業区域内にあること。
②申請者が、土地、建物について3年以上の使用権限を有するものであること。
③建築基準法、都市計画法、消防法、農地法等関係法令に抵触しないものであること。
④事業計画を的確に遂行するに足る規模のものであること。

一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業)の許可に関する審査基準及び細部取扱についてより抜粋

事務所内は許可申請書に写真を撮影して添付したり、面積が分かる平面図も添付しなければならないので、適正な大きさの事務所を確保しましょう。

介護タクシーの営業所と休憩所と車庫

営業所、休憩所、車庫については原則併設です。

併設できない場合は、全施設を2km以内にあるように借りましょう。条件は下記です。

  • 営業所と休憩所と車庫は2km以上離れていないこと
  • 運転手は点呼(出発前帰社後の体調等チェック)を行うので、営業所と車庫は近くがいい
  • 休憩所については営業所の一角をパーテーションで仕切っても許可が下りる

点呼という運転者の出発前帰社後の運転手のチェック作業です。点呼は営業所で行うので、車庫と営業所が遠いとかなり不便です。2キロといわずなるべく各施設は近くが望ましいです。

休憩所については、営業所の一角にパーテーションをで仕切って作ることでも許されますので、なるべく併設にしましょう。

介護タクシーの休憩所及び仮眠施設について、詳しくはこちら
介護タクシーの車庫について、詳しくはこちら

介護タクシーの営業所を移動や変更する場合

移転などによる営業所の移転、新しい営業所を増やす等は、運輸局に届け出る必要があります。

勿論移転先も営業所の要件に当てはまっている必要があるために、それを証明する添付書類も必要となります。忘れずに届出ましょう。

下記のように事務所の平面図や、矢印の方向からの写真撮影が必要になります。

営業所休憩施設平面図

営業所にしたい建物が要件に怪しいと思ったら

例えばこんな事で迷っている時

  • 自宅開業をしたいけど、かなり古い建物
  • 市街化調整区域で開業できるの?
  • 調べたいけど登記簿をどうやって取るの?

借りたり買ったりした後で発覚すると経済的にダメージを被ります。自宅開業の場合は、検査証のような資料がない場合かなり念入りに調べなくてはなりません。

営業所候補の建物がある場合、是非ご相談下さい。介護タクシー開業運営専門の行政書士が直接お答えいたします。

対面でのご相談をご希望の場合は下記メールフォーム、LINE、お電話で「初回無料相談希望」と明記の上ご一報下さい。弊所よりご連絡差し上げます。

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介護タクシーの開業に必要な人・物・資金リスト

介護タクシーは個人事業で営業車1台からも開業できますが、許可制ですので許可のために必要な物が揃っていないと許可が下りません。

下記、開業に必要な人、物、資金を解説した記事のまとめになります。

4つの施設、1台の車、2人の人を集めて頂く必要がありますが、揃える前からでも弊所にご相談、ご依頼頂きましたら、足りない物、揃えて頂くべき物をアドバイスさせて頂きます。

購入等してしまった後に「要件に合わない」等が出てくると経済的損害が大きいので、是非お気軽にご相談下さい。

まとめ

  • 営業所は営業したい都道府県内に構えればヨシ!
  • 自宅兼営業所でもヨシ!
  • 賃貸でもヨシ!

下記に当てはまるなら「初回無料相談」ご検討下さい

人員、物件については揃える前から相談を依頼して頂いて構いません。どのような物件と人員にすれば良いかご案内させていただきます。

すでにある物件については、許可が取れるか取れないかを調査させていただきます。なるべく早い段階で無料相談受けて頂けるとスムーズです。

メール、LINE、お電話どれでもご一報下さい

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