営業車5台以上にする時に必要な資格や義務4選

ある程度順調に介護タクシー事業が拡大し始め、台数も増えて来て5台目を増やそうとする時に転機が来ます。

介護タクシーの営業車を5台目増車しようとする場合には下記の事が必要になります。

  • 運行管理者に資格所持車が必要
  • 整備管理者に整備士資格が必要

国家資格持ちの方を2名雇わないと、5台目は増やせません。

もし何も知らずに運輸局に増車を申請した場合、却下されます。5台目増車する前にはかなり綿密な準備が必要です。何が必要でしょうか、専門の行政書士が徹底解説させて頂きます。

この記事を最後まで読むと、介護タクシーを5台にしたい時に必要な準備物がわかります。

介護タクシーが5台目を増やすときに変わる事

介護タクシーは5台以上にしようとするタイミングで必要人事がガラリと変わります。

  • 運行管理者に有資格者が必要
  • 整備管理者に整備士資格所持者が必要

有資格者を雇用しなくてはならないので、5台目のハードルはかなり高いです。

運行管理者に資格が必要になる

5台以上の営業車を管理する場合は、運行管理者は運行管理者資格が必要になります。

5台以上に申請する時に運行管理者資格がない増車の認可がおりません。

下記の手順で取得します。

  • 運行管理者の基礎講習(16時間)を修了して運行管理者試験を受ける
  • 運行管理者の実務経験1年以上を経て運行管理者試験を受ける
  • 運行管理者実務経験5年以上で、その間に所定の講習を5回受ける。

このいずれかで運行管理者資格を取得できます。全然関係ない業務の実務経験が必要という事がないので、これは実務の延長で取得できます。

運行管理者の資格について詳しくはコチラ

整備管理者に資格が必要になる

5台以上の営業車を管理する場合は、整備管理者には資格が必要となります。

5台以下の時は、整備管理者には資格は必要ありません。

必要な資格は下記

  • 自動車整備士(3級以上)
  • 2年以上の自動車整備実務経験と「整備管理者研修」の修了

自動車整備士は、自動車整備実務経験が1年以上ないと取れません。

整備管理者の資格について詳しくはコチラ

実務経験がどうしても必要ですが、介護タクシー開業の為だけに整備工場で1年働くのは現実的ではありません。

5台以上にする場合は整備士の方を雇い入れなければなりません。

なお、整備士の方が二種免許を持っている場合、運転者と兼任しても構いません。

運行管理者や整備士の資格の取得方法について、詳しくコチラ!

社会保険の加入義務が発生

5台以上に増やすタイミングで、従業員が5名を超える可能性が出てきます。

運行管理者1名+運転者5名

少なくとも6名は必要となり、うち1名を事業主が行うとしても、5名は雇っている事になります。

個人事業主の場合、常用する従業員が5名を超えると、社会保険の加入義務が発生します。

労災保険、健康保険、雇用保険、厚生年金に加入し、半分を事業主が負担する事になります。

事業主としては負担が増えることになるので、計画的に5台目を導入したいです。

安全運転管理者の選任が必要

社用車が5台以上になるタイミングで選任が必要です。

これは、緑・黒ナンバーの営業車だけでなく白・黃ナンバーの社用車も合わせて5台以上です。

社長の車が会社名義の場合は、それも含まれますのでご注意下さい。

個人事業の場合は自家用車と黒ナンバー全て合わせて5台以上。

上記の時には「安全運転管理者」を選任しなければならなくなりました。令和4年からの新制度です。

条件としては

  • 運転管理の実務経験が2年以上
  • 20歳以上
  • 悪質な違反を過去にやってない

この条件に当てはまる人を選任しなくてはなりません。

ただ、運転管理の実務経験を持っている人などなかなかいません。

その場合は、警察で月何回か行われている「安全運転管理者講習」を受けて資格者証を貰えば実務経験と同等の知識があるとされます。

これについては運送業だけでなく、普通の会社で白ナンバーの営業車が5台以上の会社でも義務化されています。




以上の4点が、5台目導入時に乗り越えなければならないハードルです。

資格の取得、人員の雇用、経済的負担等各方面から事業主に負担が増えます。これは予定出来る事なので、計画をしっかり立ててから5台目の導入をすることをお勧めします。

5台目に到達する前に事前準備をしておく

運行管理者については自分で取るか、今雇っている人に取ってもらう方法があります。

現在雇用している人に運行管理者を取ってもらう

運行管理者については研修と試験で誰でも取ることが出来ます。または下記の要件を満たせば取れます。

  • 運行管理者基礎講習+運行管理者試験
  • 運行管理者実務1年以上+運行管理者試験
  • 運行管理者実務5年と5回の研修

5年実務して研修を受ければ無試験で運行管理者資格者証がもらえます。

5年も待てない場合は、1年実務の後、研修が免除になりますので運行管理者をしている人に資格を取ってもらう事で5台以上に増やせるようになります。

整備管理者についてはどうしても外部から雇うしかない

整備管理者については整備士実務経験が1年~2年必要です。

  • 整備実務1年経験後に整備士試験を受ける
  • 整備実務2年経験後に整備管理者選任前研修を受ける

介護タクシーの整備管理者に就いていても、整備を外部の整備工場に出していた場合は、自働車整備の実務としては認められません。

5台目を増やしたい場合は、整備管理者を事前に募集するか、知り合いに整備士がいれば話をつけておくなどの事前準備が必要です。

新しい法人を作って新規許可を取る

あまり良い方法ではありませんが、新しく法人を作って新規許可を取ると1台目から始められます。

別法人になりますので、運行管理者や整備管理者は4台目までは無資格の方でOKです。

税金が2法人分になり手続きが煩雑になりますが、実際この方法をやっている事業者さんもよく聞きます。

一番のハードルになっているのが整備士が見つからないということです。どうしても見つからない場合はこの方法も検討してみるといいかもしれません。

5台目導入と同時に法人化を検討する

介護タクシーは1月/1台:40万~50万と言われています。

ということは1台につき年間500万と考えると、営業車4台になる頃には年間売上1000万は確実に超えている計算になります。

年間売上1000万が、法人化する良いタイミングと言われています。

では法人化するとどのようなメリットデメリットが考えられるでしょうか。

法人化のメリット

法人化すると下記のメリットが考えられます

  • 役員報酬を経費に出来る(一定条件)
  • 役員報酬に所得控除が発生する
  • 消費税の納付が2年免除
  • 比較的融資が受けやすくなる
  • 事業承継が出来る
  • 赤字を9年繰り越せる(個人事業は上限3年)

特にこの「事業承継が出来る」については、シニア開業が他の事業に比べ比較的多い介護タクシーとしては、大きなメリットになります。

個人から個人への事業承継は私財を譲る形になるので、なかなかスムーズに行きません。

許可要件が人員や施設、車庫、営業車にも付いているので、営業権だけを譲渡するという事は実質不可能です。

法人化し法人へ出資し、それで設備等を揃えるという形にすると事業承継はスムーズになります。

法人化のデメリット

法人化すると下記のデメリットが考えられます

  • 経理や税務のコストが上がる(税理士必須)
  • 設立に費用がかかる(定款・登記費用等:株式会社25万程度、合同会社10万程度)
  • 赤字でも法人住民税均等割を払わなければならない
  • 従業員の社会保険の半額負担

もうすでに税理士に頼んでいる、既に従業員が5人超えていて社会保険に入っているという場合なら、デメリットは設立費用と税金くらいになります。

なお、法人化の手続きについて詳しくは下記の記事をご覧ください。

介護タクシーの法人化について詳しくはコチラ




以上が5台以上増やす時の条件になります。介護タクシーはあくまで特例で1台~4台の営業を認められている状態です。

5台以上になると、普通の運送会社と同じ体制にならなければなりません。このハードルが高いです。

5台以上のハードルが高いと知った上で、事前に準備を行っておきたいです。

5台以上増やすための手続きがわからない時は

  • 売上が1000万をコンスんタントに超えている
  • 従業員が5人を超えて社会保険加入になった
  • 税金の事をちゃんと考えたい

等の時は法人化を検討して下さい。介護タクシーは許可事業なので、個人で持っている運送業許可を、法人に引き継がせる必要があります。

どうしたらいいか解らない時は是非ご相談下さい。行政書士はそういった手続きを得意としております。

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まとめ

  • 営業車5台以上にするハードは、4台以下の時より高い
  • 運行管理者や整備士資格の保持者が必要
  • 従業員5人を超えると社会保険の加入が必要
  • 売上1000万を超えるタイミングで法人化を検討する

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