白ナンバー送迎車で出来ない事、介護タクシーでカバー

白ナンバーでも条件付きでお客さんを運ぶことが出来ます。

どんな条件でなら運ぶことが出来るのでしょうか。

  • 無料なら良い?
  • 施設利用者なら良い?
  • 介護保険利用者なら良い?
  • 病院に連れて行っても良い?

白ナンバーの車椅子送迎車を沢山持っている施設を結構見ますが、この自動車はお客さんをどんな条件でなら運んで良いのでしょうか。

介護タクシー事業者としては一度整理しておいた方がいいかもしれません。専門の行政書士が白ナンバーの限界について徹底解説します。

ちゃんと知っておくことで、介護事業者や施設に対してどういったアプローチで営業が出来るか変わってきます。

この記事を最後まで読むと、施設の送迎車が出来る事出来ないことがわかります。

このような、開業後に必要な情報についてはネット上にあまりありません。弊所でまとめましたので、下記の記事もご参考下さい。

介護タクシーの開業後の運営経営に必要な知識はコチラ

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白ナンバー(自家用車)がお客さんを運んで良い時

白ナンバーがお客さんを運んで良いのは下記の条件下です。

  • 自分の施設とお客さんの自宅の間
  • 自分の施設と最寄り駅の間
  • 自分の施設を利用するお客さん
  • 無料で運ぶ

上記の条件が限界です。全てに当てはまっている場合のみ送迎OKです。

出典:道路運送法における許可又は登録を要しない輸送に関するガイドラインについて(国土交通省)

教習所や飲食店、病院、旅館、デイサービスの送迎等については無料なら送迎してOKです。

  • 自分の施設とお客さんの自宅以外の場所への送迎
  • 自分の施設の利用者でない人
  • 有料で運ぶ

上記どれか一つでも当てはまっていると運送法違反です。

黄・白ナンバーと黒・緑ナンバーの違い

黄白黒緑ナンバープレート

黄色・白ナンバーは自家用車、黒・緑ナンバーは事業用自動車です。

自家用はその名の通り自家用車です、社用車でも人や車を乗せて運びお金をもらわないような場合は自家用車です。

会社の営業マンしか乗らない営業車、会社の荷物の配達にしか使われないような自動車は自家用車なので、黄色、白ナンバーになります。

黒・緑ナンバーはバスやタクシー、運送屋さんのトラックについています。

人や荷物を運んでお金をもらう車は事業用自動車です。許可が必要で、許可をちゃんともらっている業者さんは黒や緑ナンバーになります。

許可をもらわないで白ナンバーで荷物や人を運んでいる事を通称「白タク」「白トラ」などと言われています。

白ナンバー送迎は無料なら全てOKではない

名目が何であれ、運送したお客さんとしないお客さんとの負担の差があると有料とみなされます。

よく「運送費ではなく手数料や人件費なら良いのでは」ということですが、役所では監査等入ったら「実質どうか」で見られます。

例としては下記のようなものがあります。

  • お客さんの自発的な謝礼はセーフ
  • お礼に現物支給はセーフ
  • その界隈や施設でしか使えないポイント付与はセーフ
  • ガソリン、高速代、人件費等の実費徴収はギリギリセーフ
  • 換金できるようなポイントはアウト
  • 換金できるような金券や商品券はアウト
  • 謝礼という名目の報酬はアウト
  • 謝礼が料金表などにまとめられていてそれに沿って払えと言うとアウト
  • 仲介者が謝礼を求めてもアウト
  • 仲介者が謝礼を払わざるを得ない仕組みを作ってもアウト
  • 送迎したことによって送迎しない人とサービスや料金に差をつけたらアウト

結構厳しいです。

上記はあくまで例示ですので、これ以外でも「実質運送報酬と見られる」という場合はアウトになります。

出典:道路運送法における許可又は登録を要しない運送の態様について(国土交通省)

介護事業者の送迎車の限界

介護タクシーとして密接に関わる介護事業者の白ナンバー送迎車の出来ることを把握したうえで営業をかけたい所です。

デイサービス(通所施設)の場合

デイサービスが一番送迎車を台数所持していますが、これも利用者宅から施設の間の無償送迎に限られます。

デイサービスは利用者を送迎することで国保連から介護保険がもらえる事はないのですが、送迎をしないことにより介護報酬が減る制度があります。

なので、どんなに近くてもかならず利用者を送迎します、そのためにも車を複数台用意しています。

ただ、この送迎車で利用者を病院や買い物に連れて行ったりは出来ません。無償でも駄目です。

これを覚えておくと介護タクシーから施設に営業がしやすいです。

介護タクシーの営業先について詳しくはコチラ

【例外】寄り道はしてもよい

利用者の要望があった時に限り、帰路の途中にあるスーパー等で買い物をするために寄る程度の事は許されます。

程度にもよります、あまりに大きく逸れたり、反対方向のスーパーに行くような事はお勧め出来ません。

入所施設の場合

入所施設の場合も例に漏れず、利用者自宅から施設までの間を無償で運送のみ可能です。

入所施設は送迎は入所時や帰宅時になるので、そこまで自動車の台数はありません。

利用者が病院へ行きたい場合、自前の白ナンバー自動車で病院で運ぶと違反になります。

入所するような利用者の場合、通院等の需要は少なくないと予想されます。

訪問介護の場合

訪問介護でヘルパー移動用の自家用車で利用者を病院に連れて行くと、無料でもアウトです。

訪問介護は送迎がありませんので、ヘルパーさんが移動する自動車程度が何台かある程度になると思います。

訪問介護には「通院等乗降介助」というサービスがありますが、これを使って自動車で利用者を通院させるには、運送業許可が必要です。

【例外】保険外サービス、家事・身辺援助の提供の場合

日常生活援助の一貫で、車に乗せて買い物に連れて行ってあげた等は運送業許可が必要ない場合があります。

利用者宅で車に乗せて利用者宅で下ろすような場合は2種免許や運送業許可が必要ない場合があり、実際にされている事業者さんも居ます。

この場合「固有の対価を求めない」や「車に乗せたことによって報酬が増えていない」が条件になります。

ただし、これについては各地方運輸局で取り扱いが変わるので、事前に「こういうサービスがやりたい」と相談を入れておく必要があります。

なお、日常生活援助の一貫で「お客さん所有の自動車を代わりに運転してあげた」の場合は運送業許可は必要ないというのは明記されています。

原則は運送業許可が必要

例外的に許可がいらない物もありますが、原則は上記の通り自社と利用者宅以外の場所に運ぶには運送業許可が必要です。

実際の所白ナンバーでも病院へ運んでいったりしてる事も多いですが、現状黙認されているだけで、違反状態になります。

誰しも違反状態で気分がいい人はいません。違反状態の解消の為に介護タクシー事業者は打って出なければなりません。

白ナンバーで利用者を有償で運送する方法

白ナンバーの自動車でヘルパーが利用者を病院に連れて行く事が出来る「自家用車有償運送」制度があります。

これについては、

  • 訪問介護事業者or障害者居宅介護事業者
  • 一般乗用旅客自動車運送事業

この2つを持っている必要があります。つまり緑か黒ナンバーの車を一台必ず持っている必要があります。

介護タクシーと訪問介護の相乗効果について詳しくはコチラ

持っていれば、2台目から白ナンバーで2種免許無しのヘルパーさんが利用者さんを病院に連れて行く事が出来ます。

勿論ケアマネさんにケアプランに通院を入れてもらう事が条件です。

なので、限定されたシチュエーションでしか使えませんが、こういった制度があります。

白ナンバー輸送(ぶら下がり許可)について詳しくはコチラ

あと交通空白地帯での輸送などもありますが、ここでは割愛させていただきます。

上記の白ナンバー自動車の制限を踏まえて介護タクシー提案する

「あそこの施設は、施設送迎車が沢山あるから介護タクシー需要が無い」という話でないのがわかってもらえたと思います。

白ナンバーの車がいくらあっても、利用者を病院や自施設以外の場所に連れて行くことができません。

出来ない事について「うちは出来ます」と提案するのは営業の基本です。

実際の所、国から出ている資料についても「黙認してきた」「そういった事実がある事は承知している」等のフレーズが散見されます。

つまり、違法ではあるがそこを厳しく取り締まると混乱が起こる事は承知の上だということです。

施設によっては

  • 違法と知った上で需要があったから仕方なくやっている
  • そもそも違法であると知らない

このどちらかのパターンが多いですが、両者とも悪意を持って違反をしているわけではないです。

違法状態解消、コンプライアンス、立会検査や監査対策などでこういった施設に介護タクシーの提案が徐々に効いてくるのかもしれません。

まとめ

  • 白ナンバーは自宅~施設の間を無料でしか運べない
  • 白ナンバーで通院は出来ない
  • 一定以内の無料送迎でも不可能なことが沢山ある
  • 緑黒ナンバーを持っていない介護事業者は介護タクシーが必要

白ナンバー輸送に興味がある場合は

すでに介護タクシー許可と訪問介護の指定を持っていて、緑ナンバーを1台持っている場合は、2台目以降を白ナンバー運送にすることが可能です。

白ナンバーなので自由に運ぶことは出来ませんが、ヘルパーさんの利便性が上がります。

白ナンバー輸送(ぶら下がり許可)について詳しくはコチラ

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