介護タクシー開業申請時に、料金を決めなければなりませんが、値決めが一番悩むポイントです。赤字黒字を左右するのでとても重要です。
- 介護タクシーの料金って自由に決めていいの?
- 一般タクシーより安く出来るの?
- 料金を決めるのに許可がいるの?
などなどの疑問が湧いてきます。実際どうなのでしょうか。
実は介護タクシーの料金は2階建てで出来ています。これを理解して、競合の価格を調査することで、市場に合った価格を決められます。
介護タクシーの料金の決定方法について、大阪で介護タクシー(福祉タクシー)開業運営を専門としている行政書士が徹底解説します。
この記事を最後まで読むと、大阪で介護タクシーの料金をどうやって決めればいいか、料金の認可申請書はどうやって書けば良いかが簡単にわかります。
当記事は、介護タクシー開業・運営に特化した専門行政書士が執筆しています。
日本行政書士会連合会 登録番号21260549
大阪府行政書士会所属 会員番号008156
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介護タクシーの料金の決め方
介護タクシーは開業許可申請と同時に、運賃の認可を申請し、認可を受けなければなりません。
運賃については、大阪では近畿運輸局が出している、タクシーの自動認可運賃が7パターンあります。
この中からどれかを選んで届け出ると、翌年以降も自動的に認可されます。
これ以外で届け出ると、毎年認可を受けなければならないですし、まずよほど運輸局納得させられる合理的な理由がないと、そもそも最初から認可を受けられない可能性がかなり高いです。
ほぼ全てのタクシー会社はこの中から選んだ運賃で営業していますので、この中から選ぶのがお勧めです。
なお、認可を受けないで料金を変えると罰則があります。
近畿運輸局の自動認可運賃表
下記、近畿運輸局(大阪地区)の自動認可運賃となります。
(阪神地域、京都地域等各地域によって下記の表は変わります)
普通車(定員7名まで)
- ノア・ボクシー・セレナのようなミニバン(定員6名以下)
- 軽自動車
ノア・ボクシー・セレナでも、車いすが2台載せられる、ストレッチャーが載せられる、折りたたみ椅子がついていなくて車検証に定員が「6名」それ以下で書かれると、普通車運賃になります。
距離制運賃 | 時間制運賃 | |||||
初乗運賃 (1.3km) | 加算運賃 | 時速10km以下時 | (30分) | |||
上限運賃 | 600円 | 260m | 100円 | 1分35秒 | 100円 | 3,150円 |
B運賃 | 590円 | 264m | 100円 | 1分40秒 | 100円 | 3,100円 |
C運賃 | 580円 | 269m | 100円 | 1分40秒 | 100円 | 3,050円 |
D運賃 | 570円 | 274m | 100円 | 1分40秒 | 100円 | 3,000円 |
E運賃 | 560円 | 279m | 100円 | 1分45秒 | 100円 | 2,940円 |
F運賃 | 550円 | 284m | 100円 | 1分45秒 | 100円 | 2,890円 |
下限運賃 | 540円 | 289m | 100円 | 1分45秒 | 100円 | 2,840円 |
大型車(定員7名以上)
福祉車両の場合は、定員7名以上は全て大型車です。排気量は考慮されません。
福祉車両でない場合は、定員6名以下でも排気量が2000ccを超える場合は大型車運賃となります。
- 車いすが載せられるミニバンでも折りたたみ椅子がついている
- ストレッチャーを載せられるハイエース
上記などの理由で、車検証に定員が「7名」以上書かれると、大型料金になります。
距離制運賃 | 時間制運賃 | |||||
初乗運賃 (1.3km) | 加算運賃 | 時速10km以下時 | (30分) | |||
上限運賃 | 620円 | 225m | 100円 | 1分25秒 | 100円 | 3,550円 |
B運賃 | 610円 | 229m | 100円 | 1分25秒 | 100円 | 3,500円 |
C運賃 | 600円 | 260m | 100円 | 1分35秒 | 100円 | 3,150円 |
D運賃 | 590円 | 264m | 100円 | 1分40秒 | 100円 | 3,100円 |
E運賃 | 580円 | 269m | 100円 | 1分40秒 | 100円 | 3,050円 |
F運賃 | 570円 | 274m | 100円 | 1分40秒 | 100円 | 3,000円 |
下限運賃 | 560円 | 279m | 100円 | 1分45秒 | 100円 | 2,940円 |
他の事業者はどの料金を採用しているのか
集められるだけデータを集めた結果、上限運賃で運行している業者様が多いようです。
介護タクシーは現在、需要逼迫供給不足の状況です。
加えて介護タクシーにはオプション料金もあり、運賃が料金の合計に占める割合はさほど高くなく、いっそ上限で行こうとなる事業者様が多数派です。
各事業者様が採用している認可運賃については、下記の記事で集計しています。ご参考下さい。
その他の設定料金
距離制時間制運賃以外に、下記の運賃オプションを設定出来ます。
迎車料金
車庫を出てからお客様の元へたどり着くまでの間を有料に出来ます。
- スリップ制:車庫を出た時点でメーターをオンにする。初乗り料金630円~700円が上限も設定出来る。
- 定額制:1円~初乗り料金630~700円の間で、車庫を出た瞬間にこの料金が加算。
時間制の場合の初乗り運賃時間の短縮
時間制の場合、何もしなければ30分間初乗りになりますが、これを短縮が出来ます。
詰まる所値上げです。短縮は出来ますが延長は出来ません。値上げのみ許されます。
時間制の場合の加算運賃の短縮
時間制の場合、通常は30分で料金が加算されますが、これを短縮することが出来ます。
詰まる所値上げです。これも、短縮はできますが延長は出来ません。値上げのみが許されます。
介護運賃
下記に該当する場合には、別個で運賃が設定出来ます。
- 介護保険指定事業者である
- 介護保険が適用される輸送である
この二点を満たしている時は、安く運びますという事が出来ます。例として
- 距離制運賃:初乗り料金、加算料金をケアプラン輸送時のみ安く出来る。
初乗り0円100m毎までに10円などの格安にも出来る。 - 時間制運賃:10分毎までに100円などの格安にも出来る。
かなり安く設定出来ます。ただ「何処まで行っても定額100円」や「100m1円」みたいな極端に安い物だと認可は下りません。
従量課金かつ極端に安くない額を設定して認可を受けましょう。
各種割引
割引をするにも認可を受けなければなりません。まず、全タクシー業者にデフォルトで入っている物として
- 身体障害者割引:1割引
- 知的障害者割引:1割引(推奨)
があります。加えて下記の割引を適用したい場合は認可を受けます。
- 精神障害者割引 :1割引運輸局推奨
- 高齢者割引 :65歳以上1割引
- 運転免許証返納者割引:1割引
- 遠距離割引 :9,000円を超えた分について1割引
ここまでは、適用しないこともできます。
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者
- 高齢者
- 運転免許返納者
全ての割引を入れても最大1割引です。効果は重複しません。ただし
- 遠距離割引
これについては他の割引と重複します。
弊社の関与した例としましては、介護タクシーは現在需要が逼迫している状況が続いており、価格は高め高めにする傾向があります。
その為、割引についてはあまり導入しない業者様が多いように見受けられます。
深夜割増
これは全タクシー業者強制適用です。入っていることを覚えておきましょう。大阪の例で言うと
22時~翌朝5時:2割増
タクシーメーターもこれがある事を前提にメーターが上がって行きます。
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運賃以外のサービス料金
介護タクシーは運賃以外に下記のサービスの設定が可能です。
- 基本介助料金(乗降時、車から離れた場所への簡単な介助)
- 機材レンタル料金(車椅子やストレッチャーを貸し出してくれます)
- 院内介助料
- フロア移動(1F→2Fに上がる時等)
これは一般タクシーは不可能で「福祉限定」の許可を頂いている介護タクシーだけが可能なサービスとなります。
この料金については、運輸局に届ける必要がないので、比較的自由に決められます。料金表については乗客にわかりやすいように明示する必要はあります。
介護タクシーの運賃・その他オプション料金の相場
弊所で関与した介護タクシー業者様では、下記のような例が多いです。
介護タクシーは予約でしか受注が出来ない上、朝昼の病院の送迎とのべ乗客も限られているので、目標客単価にたどり着くように逆算して料金を決める所があります。
大体平均客単価4,000円前後を目指して料金の設定を行います。
- 運賃(迎車合わせて2,000~3,000円)
- 基本介助料金(500~2,000円が多い)
- 機材レンタル料金(ストレッチャー3,000円、リクライニング車いす1,000円等)
- 病院内介助料金(1,000円~時間制)
- フロア移動料金(1フロアにつき1,000円)
上記の設定で、客単価平均5,000円~6,000円を目指すと、一日2往復の基礎売上だけで人件費や生活費とトントンにすることが出来ます。
勿論、地域によって差があります、周囲の介護タクシー業者を調査して、合った料金形態に決めたいです。
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運賃を決めたら運賃認可申請書を申請する
介護タクシーの運賃認可申請書の入手方法
まず申請書をダウンロードします。近畿運輸局のHPで可能です。
グーグルで「近畿運輸局 介護タクシー」と検索すると、一番上にヒットします。
下記の赤丸の部分をクリックします。
次に①をクリックすると、自動的に②がダウンロードされてきます。
これでダウンロードは完了。運賃認可申請書が手に入りました。
運賃認可申請書の記入方法
運賃認可申請書はエクセルファイル形式でダウンロードされてきます。
運賃認可申請書についてはかなりよく出来ていて、チェックボックスにチェックを入れると運賃認可申請書が自動的に埋まっていくという物になっています。
- 個人(法人)の情報を書きます
- 申請の種類は、新規申請の場合は「設定の申請」に○
- 距離制運賃を設定する場合は「設定する」に○
- 地域を選びます。大阪の場合は「大阪府」に○
- 希望する運賃の選択、別シートに飛びます。選択します(下記画像)
- 時間制運賃の場合、選択した運賃から短縮させる事も可能です。ただ、割高になるので注意が必要です。
- 迎車料金も設定出来ます。その場合車庫を出た時点からメーターをオンに出来ます。しないことも出来ます。
5の希望する運賃の選択は下記のシートに飛びます。希望する運賃の横に○をつける所があるので○を付けます。未記入だと黄色になっており、記入すると下記のように白になります。
大型車を持っていない、時間制を導入するつもりはないということでも、今後のためにすべて◯をつけておいてくださいとの事です。変更したければ後日変更も出来ます。
8,各種割引の設定を選択できます。タクシーは申請していない人に対しての割引は禁止されているので、割引したい場合は必ず申請が必要です
9,介護運賃については、訪問介護などの介護保険の指定を既に受けている業者のみ記入します。介護保険適用時に利用者を安く運ぶ設定ができます、安くしたくない場合は設定しないで通常料金で運ぶ事も出来ます。
印刷して運輸局へ提出
ここまで入力し、エラーチェックの欄に赤文字で「入力完了→運輸支局へ提出して下さい」と出ていれば入力完了です。
「表紙」と「別紙」を印刷します。入力完了の時点で、表紙と別紙は出来上がっています。
別紙は3枚ありますが、2~3枚目は説明のみになりますのでカットします。
1枚目に、自分が決めた料金が転記されており、自分がどういう料金で今後事業を行うかが明確に書いてあります。
運賃認可申請を提出するタイミング
営業許可申請と同時に出しておくことをくれぐれも忘れないようにして下さい。
運賃認可申請は、申請から認可まで2ヶ月かかります。
営業許可は下りたけど、運賃認可申請書出していなかった、出したら2ヶ月かかる、その間に家賃が発生してしまう等では目も当てられませんので、必ず営業許可申請と同時に出しておくことを強くおすすめします。
料金をどうしたらいいかわからない時は
- 運賃認可申請はいつ決めて、いつ出したらいいの?
- 他より安いほうがいいの?薄利はよくない?
- 割引はどれくらいつけたらいいの?
- 相場はどれくらいなの?
- 他の業者さんはどうしているの?
大阪では運賃が6パターンあります。さらには時間制運賃という形態もあります。
やはり競合との兼ね合いで、下限運賃がいいのか、利益率を上げたほうがいいのか。介助料金やレンタル料金はどうしたらいいのか。
迷った場合はご相談下さい。今後の事業展開から、最適な運賃形態を決めましょう。下記LINE、またはお電話で「初回無料相談希望」とお申し付け下さい。弊所から回答申し上げます。
LINEでのご相談は無料です
弊所に依頼するメリット
弊所に依頼するメリットは「20時間」「10日間」の短縮です。
介護タクシーを開業するに辺り、施設人員資金を集め終わった時点からの大まかな作業時間は下記です。
工程 | 大まかな所要時間 |
施設の測定、平面図作成 | 3時間 |
車庫前面道路の測定 | 3時間 |
幅員証明書の取得 | 1時間(10日待ち) |
施設等の写真撮影 | 3時間 |
申請書調べながら記入 | 11時間 |
合計 | 20時間 |
道路の測定(3時間)と幅員証明の取得(1時間)はどちらかになります。幅員証明の無い自治体の場合は実地測定のほうが早い場合があります。(大阪市等)
申請書の各欄を埋めるため、調べたり運輸局に電話したりしていると、推定合計20時間、勿論他の事も並行して行うので、申請関係に1日2時間作業しても10日くらい必要になります。
これを弊所がまとめて請け負います。役所からの書類の補正対応等も全て弊所が行います。まずはお気軽にご相談下さい。
まとめ
- 運賃は、運輸局が設定している料金から選ぶ。
- 迎車や運賃は、変更認可に数ヶ月かかる。
- 介助料金、機材レンタル料金については認可無し。自由に決められる。
- ケアプラン内輸送については別料金を決められる。
下記に当てはまるなら「初回無料相談」ご検討下さい
- 介護タクシーの開業を検討している
- 訪問介護・看護の他に介護保険外のサイドビジネスを考えている
- 障害者福祉事業の他に国保連外のサイドビジネスを考えている
- 介護のスキルを活かして独立したいと考えている
- 開業したいけど何が必要かよくわかっていない
- 物件はあるけど、これで許可が下りるか知りたい
- 現在介護事業を行っていて、サイドビジネスを考えている
- いつも頼んでいる介護タクシーの予約が取りにくい、自前で1台持ちたい
- 男性ヘルパーの活躍する場を更に増やしたい
人員、物件については揃える前から相談を依頼して頂いて構いません。どのような物件と人員にすれば良いかご案内させていただきます。
すでにある物件については、許可が取れるか取れないかを調査させていただきます。なるべく早い段階で無料相談受けて頂けるとスムーズです。
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