軽自動車運送を順調に経営していくと、いずれ壁に当たります。
- 軽貨物運送が軌道に乗って案件も増えてきた
- 長距離や荷物量の大きい案件が突発的に来る
- 仕事を断りたくないが軽自動車には限界を感じている
そろそろ、軽自動車から2トンや4トンのトラックを使えるようになりたい。軽自動車ではないトラックを使いたい場合は「一般貨物自動車運送事業」という業種になります。
軽自動車は運輸局に届出で可能ですが、一般貨物は「許可」になります。
届出は、届出て受理されれば終わりですが、許可は申請して審査の上で許可不許可が出ます。
一般貨物の許可を取るのは難しいでしょうか。専門の行政書士が一般貨物の許可について徹底解説させていただきます。
この記事を最後まで読むと、緑ナンバーをどうやって取得したら良いかがわかります。
自動車・運送業手続行政書士髙橋です。自動車手続きは大阪・運送業支援は近畿二府四県対応しています。
日本行政書士会連合会 登録番号21260549
大阪府行政書士会所属 会員番号008156
尚、弊所は一般貨物(緑ナンバー)取得手続き代行について、報酬550,000円で行っています。
LINEでのご相談は無料です
一般貨物自動車運送事業とは
通称「一般貨物」正式名称「一般貨物自動車運送事業」という事業名になります。
軽貨物「貨物軽自動車運送事業」は、その名の通り軽自動車での運送しか認められていません。
ですが「一般貨物」は2t以上、10tのような大型トラックやトレーラーについても運用が可能です。
軽自動車の貨物はナンバーが黒ですが、一般貨物のナンバープレートは緑色になります。
法人でなくても良い
緑ナンバーは法人でなくても取ることが出来ます。
個人事業でも緑ナンバーを取ってトラック運送を行えます。ただ、5台設置し5人雇っている時点で法人の方がメリットが大きいのでお勧めは株式会社や合同会社等の法人です。
当HPは黒ナンバー(軽貨物)からのステップアップの緑ナンバーを推奨しています、法人化については下記の記事もご参照下さい。
一般貨物自動車運送事業を取得するメリット
積載量の高いトラックを使えます。
軽貨物自動車の最大積載量は350kgです。
翻って貨物自動車は最小の物でもタウンエースの800kgになります。
少なくとも倍、2tだと5~6倍の荷物を積む事が出来ます。
当然、一度に沢山の荷物を積んで走れると単純に人件費が安くなります。
一般貨物自動車運送事業を取得するデメリット
おおよそ1,500万~2,500万の資金が必要と言われています。
軽貨物運送を始め、拡大を順調に重ねてもここまでの資金を貯めるのは難しいと思います。
この資金があるかどうかを運輸局に確認されます、確認して資金が無いと許可が下りません。
ではなぜここまでの資金が必要なのでしょうか。
次に、一般貨物の許可に必要な準備物を見ていきます、これらをすべて揃えるのに、大体の場合これくらいの資金が必要とされています。
一般貨物自動車運送事業の開業許可に必要な物
事業を始めるために役所に申請するには、大体の場合「ヒト・モノ・カネ」があるかをチェックされます。
一般貨物自動車運送事業に必要な「人員」
最低6名、全員資格持ちが必要です。
- 運転手5名(全員二種免許取得者)
- 運行管理者1名(運行管理者資格保持者)
- 整備管理者1名(3級整備士以上または整備実務経験2年+研修の修了)
運転手と運行管理者は原則兼任出来ません。なので最低6名は必要になります。
運転手と整備管理者は兼任できます。その場合は二種免許と整備士両方持っている必要があります。
尚、2種免許は「取得予定」でも申請までは可能です。申請から許可までの審査期間が4ヶ月程度ありますので、この間に取得が出来るようでしたら、先に申請をしておいても構いません。
運行管理者や整備士については年二回しか試験がありませんので、こちらは先に取っておくことをお勧めします。
尚、整備実務2年以上+整備管理者研修でも整備管理者になれます。整備管理者研修は毎月数回開催されています。
一般貨物自動車運送事業に必要な「物件」
下記の物件が必要です。
営業所
営業所の条件は下記のようになります。
- 契約して借りている、または自分の持っている土地である
- 違法建築ではない
- 市街化調整区域や住居専用地域ではない
- 農地ではない
- 狭すぎない
気になる物件を見つけたら上記チェックして下さい。
営業所については極端に狭くなければOKです。6名が動ける最低限の広さあれば特に内部の構造といった事は問われません。
通常、オフィスとして使われているような物件なら大体クリアしていますが、不動産屋さんにこの事を先に伝えて物件を探すのが早いです。
勿論デスクやPC、電話ネット、電気などオフィスに必要な設備は整っている必要があります。
営業所については、どこに借りるのかは重要ですので慎重に決めて下さい。
休憩所及び仮眠施設
ドライバーが休む休憩所が必要です。条件は営業所とほぼ同じです。
- 契約して借りている、または自分の持っている土地である
- 営業所に併設、または2km以内
- 違法建築ではない
- 市街化調整区域や住居専用地域ではない
- 農地ではない
- 同時に使うと想定される人数✕2.5㎡
営業所は面積まで決まっていませんが、休憩所は面積の規定があります。
ただ「同時に使うと想定される人数」なので、1度に2名程度しか使わないという運行体制の場合は、2名✕2.5㎡で5㎡あれば許されます。
尚、営業所として借りたオフィスの一室をパーテーション等で区切り、ソファなどを置くことで休憩所として認められます。
車庫
車庫の条件は下記の通りです
- 営業所から5km~10km以内
- 自動車が5台置けて各車に前後左右50cmの余裕がある
- 白線やコーンなどで車庫がどこかちゃんとわかる
- 建物の場合は違法建築ではない
- 農地ではない
- 前面道路が狭すぎない
車庫は営業所に併設、併設が無理な場合は5km~10km以内に借りてください。
地域によって5kmの所と10kmの地域があります。都心だと10km以内、郊外だと5km以内の傾向があります。
自動車が5台置けて、かつ余裕があるスペースが必要ですので、キチキチの面積しか無いと許可が下りない可能性があります。
前面道路の広さは目安として
(車幅✕2)+0.5m
これ以上の道幅の道なら特に何もなく許可が下ります。例えば一般的な1.8m車幅の2tトラックの場合
(1.8m✕2)+0.5m=4.1m
以上の道幅の前面道路であればOKです。
営業車
- 最低5台以上
- 車検証に「貨物」と書かれている
- リースか購入している
乗用車は使えません。
ハイエースやタウンエースも使えるのですが、車検証の用途部分に貨物とちゃんと書いてあるか注意が必要です。
何を揃えればいくら掛かるか、緑ナンバー取得の総合的なご相談については、下記LINEで「初回無料相談希望」とご一報下さい。弊所より連絡差し上げます。
LINEでのご相談は無料です
一般貨物自動車運送事業に必要な「資金」
資金については、建設業などのように「500万」と額が決まっていません。
ここまで見てきた「人員」の人件費を計算し、「物件」の見積もりを取り、それらを揃えるために必要な金額を試算します。
試算した必要資金以上の残高が銀行の口座に一定期間の間ないと申請出し直しです。
必要な資金は下記の通りです。
車両 | 一括購入の場合:購入資金全額 分割購入の場合:頭金+ローン1年分 リースの場合:1年分のリース料 |
営業所 休憩所 車庫 | 一括購入の場合:購入資金全額 分割購入の場合:頭金+ローン1年分 賃貸の場合:家賃1年分 |
自賠責保険 任意保険 | 支払保険料1年分 |
自動車税 重量税 | 1年分 |
人件費 燃料費 修繕費 | 半年分 |
これを普通に試算すると1,500万~2,500万はかかります。
では項目別に見ていきます。
車両
最低5台必要になりますので、購入でもリースでも✕5です。
- 激安リース月10万でも120万✕5台で600万
- 一括購入の場合2tトラック300万前後✕5台で1,500万
- 分割にして頭金50万の50回払い、年間100万✕5台で500万
ローンやリースについては審査がありますので、通らないと頭金の額が上がる可能性もあります。
一番安い貨物仕様のタウンエース(最大積載量800kg)でシミュレーションしますと
購入100万~150万✕5台で500万~750万
リースで月3万ちょっと、年間40万✕5台で200万
一般貨物は最初の審査が令和元年に厳格化されてかなり厳しくなりました。
ただ、許可を取ってしまえば車両変更には資金要件がありません。ミニマムで許可を取りつつ、大きいトラックに買い替えて行くのも手段かもしれません。
営業所・休憩所・車庫
家賃を1年分計上する必要があります。
- 営業所・休憩所はオフィスビルの1室で月10万程度
- 車庫はトラック5台分の広さの土地が必要(相場家賃30万前後)
- 各自動車+前後左右50cmの余裕が必要
車庫の面積については、例えば最小のタウンエースや2tショートの場合
- 車幅1.7m✕車長4,5mで7.34㎡
- 前後左右50cmの余裕を加えて14.9㎡
- 5台分で約75㎡
2tトラックロングの場合ですと
- 車幅1.8m✕車長5mで9㎡
- 前後左右50cmの余裕を加えて16.8㎡
- 5台分で約84㎡
上記以上の面積の車庫を確保する必要があります。開業する土地にもよりますが、相場は30万~50万、年間360万~600万を見ておく必要があります。
尚、車庫のみですと市街化調整区域でも許されますので、郊外で5kmルールを利用すれば安く土地が確保できる可能性もあります。
自賠責保険・任意保険
- 営業車の自賠責保険は1台年間18,000円~25,000円程度
- 営業車の任意保険は1台年間10万~15万前後
自賠責については、2t以下かそれ以上で上記のように価格が変わります。
任意保険については、緑ナンバーだと車の状態にもよりますが上記くらいの年額を見ておいていただけるといいと思います。
自動車税・重量税
2tトラックを基準に出します
- 排気量3000cc以下
- 車両総重量5t以下
と仮定すると
- 自動車税種別割:9500円✕5台=47,500円
- 重量税:13,000円✕5台=65,000円
となります。勿論車種が変われば額も変わります。
人件費
人件費を半年分計上する必要があります。計算方法は下記の通りです。
地域の最低時給✕8時間✕23日✕6ヶ月✕人数
大阪を例にすると下記の通りです。
1064円✕8時間✕23日✕6ヶ月✕6人=7,047,936円
6人は運転手5人+運行管理者1名の最小体制です。
法定福利費
人件費に加え
- 法定福利費13%
- 厚生福利費2%
これを加える必要があります。加えると
法定福利費:916,231円
厚生福利費:140,958円
合計 :8,105,126円
大阪の最低時給だと800万超えます。結構な現金が必要なので、かなりの蓄積が必要になります。
燃料油脂費
半年分のガソリンと油脂費を計上します。
((走行距離✕燃費)✕ガソリン単価180円)✕5台分
下記の条件で計算します。
- 2tトラックは月平均180km程度走行(厚労省調査より)
- 平均燃費はリッター11kmの車が多い
- ガソリン価格は180円とする
((月平均走行距離180km✕燃費11km)✕ガソリン単価180円)✕5台分✕6ヶ月分=2,032,380円
これに油脂費(3%)を入れます。油脂費とはエンジンオイル、潤滑グリス代と考えて下さい。走行距離が増すと量が増えます。
油脂費はガソリン代に3%加えるだけです。
2,032,380円✕1.03=2,093,334円
上記が燃料油脂費になります。
自動車の燃費や運送スタイルによって条件は変わりますが、平均は上記のようになります。
修繕費
消耗品やメンテ代です。半年分計上します。
これについては決まりはありませんので、1台当たり月2万計上します。
20,000✕5台✕6ヶ月=600,000円
になります。これについても長距離をするなどの運送スタイルで価格は変わってきます。
出した費用を全て合計する
合計すると下記のようになります。
最小値 | 最大値 | ||
自動車 | 1年分 | ¥1,800,000 | ¥15,000,000 |
車庫家賃 | 1年分 | ¥300,000 | ¥300,000 |
営業所家賃 | 1年分 | ¥100,000 | ¥100,000 |
任意保険 | 1年分 | ¥500,000 | ¥750,000 |
自賠責 | 1年分 | ¥90,000 | ¥125,000 |
自動車税 | 1年分 | ¥47,500 | ¥47,500 |
重量税 | 1年分 | ¥65,000 | ¥65,000 |
人件費 | 半年分 | ¥8,105,126 | ¥8,105,126 |
燃料油脂費 | 半年分 | ¥2,093,334 | ¥2,093,334 |
修繕費 | 半年分 | ¥600,000 | ¥600,000 |
合計 | ¥13,700,960 | ¥27,185,960 |
高くなるかならないかの決め手ははやり自動車・営業所・車庫です。
上記の最小は、タウンエース5台を月3万でリース、年額36万円✕5台の最小理論値です。
最大値はキャンターやアトラスなどの2tを300万を5台一括購入した場合です。ほぼここで1千万円以上の差がつきます。
営業所は人数が変わらないので、そんなに変わりませんが、車庫については車が大きくなると大きい車庫を借りなければなりません。
尚、予算の大半を占める人件費が最も嵩みますが、これは動かせません。
緑ナンバー取得のための資金についてよくわからない場合は、下記LINEで「初回無料相談希望」とご一報下さい。弊所より連絡差し上げます。
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一般貨物開業当初の人件費を削減する裏技
裏技ではなく法律でも認められた方法ですが、下記の条件であれば可能です。
- 運行管理者資格持ちが2名
- 運行管理者資格持ち1名と運行管理者基礎講習修了者が1名
運行管理者と運転者は正確には兼任が出来るのですが、自分で自分の点呼が出来ません。
ということは、自分以外に点呼をしてくれる人がもう一人いれば、その人から点呼を受けて運転手として外に出られます。
これを前提に下記の条件で稼働が可能です。
・ドライバー5名中、運行管理者資格持ちが2名の場合
運行管理者資格持ち2名とも運行管理者に選任すると、全員がドライバーになれます。
ただし、運行管理者2名中、どちらかは営業所に残る必要があります。同時には出られません。
・ドライバー5名中、運行管理者資格持ち1名と運行管理者基礎講習修了者が1名の場合
運行管理者資格持ちを運行管理者に選任、基礎講習修了者を運行管理者補助者に選任します。
これも管理者か補助者どちらかが営業所に残る必要があり、加えて点呼は1/3以上管理者しなくてはならないです。
全部補助者が点呼は出来ませんのでご注意下さい。
残高証明書を提出する
上記の人件費・物件を用意する資金を銀行の残高に入れて、残高証明を発行してもらい運輸局に提出します。
2回提出しますので、その間に口座のお金を減らさないようにして下さい。
減らしても良いのですが、上記の資金計画を下回らないように気をつけて下さい、下回ると申請再提出です。
土地や車などを既に所有している物は資金に入れなくてもOKです。
- 車検証の所有者が自分だ
- 土地の登記簿上の所有者が自分だ
これらが証明できる場合、残高のにお金が入っている必要はありません。
上記をすべて揃えると申請書が書ける
ここまでが、一般貨物自動車運送事業を開業するまでの条件となります。
令和元年に条件が厳格化されましたので、合計試算が1500万~2500万の例が多くなりました。最低限それだけの試算が必要となります。
これだけの物件や資金を集めるのは大変ですが、軽貨物からさらにやれる事を増やしたい、求められる事が増えてきている等なら、一般貨物ぜひご検討してみて下さい。
現状から何を揃えれば一般貨物を開業できるかわからない時は
まず、何を集めれば良いか、それにはいくらかかるかをハッキリさせれば見えてくる物があります。
弊所では、一般貨物自動車運送事業開業のための「初回無料相談」を行っています。
- 上記のことが知りたい
- それ以外の細かいことが知りたい
- 今持っている物件でいけるか聞きたい
初回無料相談でお答え致します。メール、LINEお友だち登録、お電話等で「初回無料相談」とご一報下さい、弊所から日程の提案をさせていただきます。
無料相談圏内は近畿二府四県、富山福井石川新潟西部で行っていますが、それ以外の地域でもご相談下さい。
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まとめ
- 一般貨物を開業するには6人必要
- 一般貨物を開業するには営業所・休憩所・車庫・営業車が必要
- 一般貨物を開業するには1500万~2500万程度必要
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